玄人志向 GF6600-E128Gのベンチマークテスト |
史上最強のコストパフォーマンス? 2007年12月末、世間がPalit社のGeForce 8800GTのコストパフォーマンスの良さに賑わう中、玄人志向からローエンドユーザー向けの新製品が突如として発売されました。 その名はGF6600-E128G。 『あれ、何で今更GeForce 6600? しかもGTならまだしも無印って型落ちもいい所じゃないか。性能もミドルレンジにしては結構微妙だった気がするんだけど?』 誰もが思うその疑問。しかしそんな些末な事は次の瞬間に吹き飛ばされることになるのです。 販売価格: 約2000円 なんと驚きのこの値段。いかな旧世代のビデオカードとはいえ、実勢価格がここまで安いものは見たことありません。 そこで、実際このカード使って現行のミドルレンジカードたちにベンチマークスコアでどの程度迫れるのだろうかという実験をしてみることに致しました。 GF6600-E128Gは2007年12月26日現在T-ZONEやZOA等の秋葉原の各店舗で2000円で限定販売されています。現在も製造されている類の製品ではないと思いますので、在庫がなくなり次第終了となるでしょう。 2007年の初めより、TSUKUMOやクレバリー、Sofmap等の店舗でも(多分、新年おめでとうといった意味で)2008円で特価販売を開始するようです。 ■玄人志向 GF6600-E128G (購入価格2000円程度)
※GeForce ローエンドビデオカードスペック比較表
しかし、いくら当時のミドルレンジとはいえ現行のローエンドはコアの処理性能も上がってるし、値段が安い以外にいいことあるの? って疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、おおありです。 型落ちとはいえミドルレンジ製品。要所要所でコスト削減のために機能削られてるローエンドカードと比べて「ユニット数が多い」「メモリ帯域も広い」等多くの利点があり、7300や7200よりは高速でしょう。8400GSとではユニット数やコア性能、クロックの差もありますのでさすがに苦しいと思いますが、このボードはファンレスでしかもオーバークロックもされていますし、価格を考慮するならば充分に魅力的です。 ボードレイアウトはこんな感じ。ファンレスで、出力端子はD-subとDVI、それとS端子。 メモリはhynix製のものが採用されています。 ヒートシンクは凹凸のあるデザインで、やや隣のスロットにはみ出すため2スロット占有です。 コンデンサは日ケミやニチコンのものが多く使われてますが、Capxonのものが2個、SACONのものが1個だけ混じってました。 付属品はマニュアルとドライバCD-ROMのみ。 DVI -> D-sub変換コネクタやらTV出力ケーブルやらといった便利なものは全くもって付属しません。 更に言うと箱の中に緩衝用のスポンジすら入ってません。帯電防止袋に包まれたビデオカードがそのままポンと入ってます。まあこれはありえない低価格の分削ったと思えば仕方のない所。 ■オーバークロック、SLIでパフォーマンス限界に挑戦 本来GeForce6600の定格コアクロックは300MHz、このボードは350MHzと既にOCされているモデルなわけですが、ここでは敢えてパフォーマンスという面で限界を探るため、オーバークロックを行い常用可能な限界状態でベンチマークを行います。そのため、まずはどこまで耐性があるのかを調べないといけません。
以上のような結果になりました。コアクロックはさすがに元からOCされているだけあって70MHzのUPに留まりましたが、メモリクロックはそれなりに伸びました。どちらにせよ、コア/メモリ共に定格クロックから考えればそれなりに伸びたと考えて良いと思います。 ■低発熱とはいえミドルレンジ。コア温度には注意が必要 気になったのが温度。このビデオカードには温度センサーが付いていないためシステム上からコア温度が確認できないという欠点があり、そのためSLI動作中2枚目に設置したカードへのエアフローが全く確保できていない状態でテストを行った所、熱暴走によりPCが強制停止してしまうといったトラブルが発生しました。 温度センサーについてはBIOSでソフトウェア的に無効化されているだけで、GeForce6600に使われているNV43コアには標準で搭載されているそうです。そのため、nvflashとNiBitを使用してBIOSを書き換えてやることで温度センサを有効にし、コア温度を確認できるようにすることが可能です(FDDが必要)。ここでは詳しい方法については触れませんが、googleで検索すればいくらでもヒットするので興味のある方、必要な方は自己責任の上で書き換えてみてください。 さて、BIOS書換で温度センサを有効化した後、温度計測を行ってみました。室温は約10℃です。 [1]. 【ファンレス無風 SLI idle】 [2]. 【ファンレス無風 SLI ATIToolを温度上昇が止まるまで稼動】 [3]. 【ファンレス SLI 650rpmの超低速8cmファン設置(ATIToolは回したまま)】 [4]. 【ファンレス SLI 650rpmの超低速8cmファン設置(ATITool停止、idle状態)】 [2]の結果を見ていただければ判る通り、無風運用では正直ヤバい温度まで上がります。途中でぶっ壊れるんじゃないかとヒヤヒヤしつつも、どうせ2000円だしこの際いっそ1枚生贄に捧げてもいいかって思いで温度上昇が止まるまで回し続けました。 ロード時の最高到達温度は実に120℃。ヒートシンクは触ると火傷する温度ですし、一般的なコンデンサの耐久温度(85〜105℃)もオーバーしてます。これは明らかに想定される動作温度からは外れてる気がします。 そこで、650rpmの超低速8cmファン(一般的なファンの1/3程度の風量のもの)をビデオカード付近のサイドパネルに設置してみたところ、[3] [4]のように至極実用的な温度にまで改善されました。ヒートシンク自体の大きさもあってか、少しでもエアフローがありさえすれば温度的には充分に改善されるようです。 チップの発熱自体はそう大きくないようですが、窒息ケース等での無風運用には大いに気をつけるべきでしょう。 |
各種ベンチマークソフトによるパフォーマンスの計測 以下では、各種3Dベンチマーク系ソフト(主に無料のもの、但し一部有料版を含む)を用いて、各種ビデオカードのパフォーマンスを計測します。
※6200LPは64bitメモリインターフェイスの製造メーカー不詳のGeForce 6200(NV43)を使用してます。だいたい7100GSと同等の性能です。 ※7300GTは7600GSのピクセルパイプラインを無効化し、クロックを下げることで仮想的に再現しています。 ■3DMARK系ベンチマーク 3DMARK系では、6600無印のスコアはだいたい7600GSの半分程度になっています。限界までオーバークロックを行った場合3DMARK05と03では7300GTよりも高いパフォーマンスが出せるようですが、3DMARK06では残念ながら7300GTにも追いつく事はできませんでした。 2000円のビデオカードでSLIをできる環境を作ろうという気になる方がどれだけいるかは判りませんが、SLIの効果がうまく現れていない2001を除けばほぼ全てのベンチで6600 SLI OCの結果が後世代のミドルレンジカードである7600GSのスコアを超えており、これは評価するべき点だと思います。しかしながら、メモリ容量128MBというのが大きなネックになっているためか、3DMARK06の1920x1080解像度設定やAA/AF等重負荷条件設定時には、SLIやOCの有無に拘らずメモリ128MBの6600/6200は3DMARKが完走せず途中で必ず強制終了してしまうという問題が発生してしまいました。やはり高解像度で使用する際にはメモリ容量がネックになりそうです。 ■3DMARK06詳細 ■ゲーム系ベンチマーク1 じゃあ実ゲームではどうなんだっていう話なんですが、やはり最新タイトルではメモリ容量の差は大きいようで、Lost Planetでは1920x1080解像度で起動した際にはっきりと「メモリ容量が足りない」ような事を言われエラー終了してしまいました。一番効果が大きかったAquamarkでも結局7600GSと同等レベルにはなったものの、7600GSを超えるには至りませんでした。 ■ゲーム系ベンチマーク2 割と軽めのゲームのベンチマークでは、SLIの効果がほとんど見られず、スコアは逆に低下してしまうことも。6600をオーバークロックする事での効果は結構体感できるレベルで出ているんですが、こちらも全て7300GTに届くには至っていません ■萌え系ベンチマーク タイムリープべんちでは軽負荷条件時にSLIの効果が大きく出ていました。しかし高解像度では7600GSに抜き去られたり、あとAA4x/HDR有効時には1280x1024がOKで800x600が駄目、しかもスコアが変という奇妙な挙動を見せたりと、いろいろと怪しい部分が多かったです。 ゆめりあベンチではSLI効果は一応あるものの実感できるのは低解像度のみで、高解像度ではあんまり意味ない感じでした。 ■OpenGL系ベンチマーク FurBenchではメモリ128MBのカードでMSAA8x設定+1680x1050以上の解像度でテストを行うと、MSAAが強制的に4xになって実行されてしまうためスコアは0としました。SLIの効果が最も大きく得られたベンチですが表示はスムーズとは言い難かったです。 ■結論 ピクセルパイプライン4本+64bitメモリとかいうオンボードビデオと殆ど変わらない程度の性能のGeForce 6200 ロープロファイル版や7100GSなんかと比べれば、2000円という価格で低設定ならゲームにも耐えられるレベルですから、旧世代カードとはいえ価格以上の効果はあると思います。このパフォーマンスならばおそらく現行のオンボードに負けることはないでしょうから(Radeon Xpress1250とかのオンボの中では頭一つ抜けてる奴にも多分負けはしないでしょう)、オンボードからの超低価格での乗り換えにはこの年末年始では最高の選択肢になると思われます。 パフォーマンス的には7300GSと7300GTの中間といったところの本ボード。とはいえ7300GTとの間には超えがたい壁があるようで、がんばってオーバークロックしても総合パフォーマンスで7300GTを超えるのは無理そうです。 じゃあSLIしたらどうなるのかっていう話ですが、これも対応アプリケーションならば7300GTを大きく上回ることはできそうですが、じゃあ7600GSに勝てるかというとこれは無理。SLI対応してないアプリケーションでは7300GTを下回ったり、下手すると本来の6600のスコアよりも落ちてしまったりもします。発熱や消費電力の面から考えても、こんなことするくらいなら普通に7600GS買ってシングルで使った方が良いんじゃないかと思います。これはSLI未体験の人が4000円の投資をして趣味でやるものです。 でもまあとりあえず、大航海時代とかFFXIとか三國無双だとか軽めのゲームはすらすら動くっぽいです。本当にちょっとしたゲームしかやらない人にとってはこいつで充分っていう気もします。 本テストに用いた各種ベンチマークソフトウェアのダウンロード先 3DMARK05 3DMARK06 http://www.futuremark.com/download/ Lost Planet 無料体験版 DX9版 http://jp.slizone.com/object/lostplanet_jp.html タイムリープぶーとべんち(元ネタが18禁ソフトメーカーらしいので閲覧の際は注意) http://xoops.frontwing.jp/product/timeleap/download.html ゆめりあベンチマーク http://www.yumeria.com/download/mark.html (ゆめりあベンチの解像度が640x480しか選べない件については2chの該当スレッドを参照の事) http://pc11.2ch.net/test/read.cgi/jisaku/1189959243/l50 Aquamark3 http://cowscorpion.com/CPU/AquaMark.html Final Fantasy XI Official Benchmark Vana'diel Bench ver.3 http://www.playonline.com/ff11/download/media/benchmark01.html oZone3D OpenGL Fur Rendering Benchmark http://www.ozone3d.net/benchmarks/fur/ CrystalMark2004 / CrystalMark2004R2 http://crystalmark.info/software/CrystalMark/ 大航海時代Online ベンチマークプログラム http://www.gamecity.ne.jp/dol/bench/guide.htm 各種ベンチマークプログラムはこちらのベンチ結果と同じ設定にてテストしています。 |