GeForce8800GTにVF900-Cuを取り付けて常用してみたい。
何かもうGGW-H20Nの検証補助内容から大きく逸脱して違うジャンルの趣味に大突入しつつある気が酷くするのですが、まあ今回のはマジで性能すごいらしいし祭りの参加費込みだと考えれば人柱になってみるのも吝かではないかなと思いながら、8800GTを発売日に購入して参りました次第でございました。
■ XFX GeForce 8800GT 512MB (購入価格35000円程度)
外箱。
カード本体。カード裏面にはネジが目立ちます。同梱物はDVI->D-Sub変換端子x2、HDTV出力セット、
マニュアル類、ドライバCD、そして付属ゲームのCompany of Heroesフルバージョンなど。
※長い。
長さ比較。上からGeForce7600GS、7900GS、8800GT。
8800GTXほどではないにしろ、8800GTのカード長もかなり長いので、
ケースによっては収まらないこともありそうです。取り回しには注意。
とりあえずリファレンスファンのまま取り付けた図。
うちのケースではこの長さが限界ですね。8800GTXは無理そう。
※GeForce8ファミリー ハイエンドビデオカードスペック比較表
GeForce 8800GT
GeForce 8800GTS
GeForce 8800GTX
GeForce 8800Ultra
GPUコアクロック
600MHz
500MHz
575MHz
612MHz
メモリデータレート
1800MHz
1600MHz
1800MHz
2160MHz
メモリ帯域
256bit
384bit
384bit
384bit
ストリーミングプロセッサ数
112sp
96sp
128sp
128sp
搭載メモリ
GDDR3 (1.0ns)
GDDR3 (1.2ns)
GDDR3(1.0ns)
GDDR3(0.8ns)
メモリ帯域の差はあるものの、スペック的には明らかに8800GT>8800GTS。
8800GTは8600GTSのスペックがマニア層にはやや期待はずれだったこともあり、正式に発表となる以前からスペックについてかなり色々な憶測が飛び交っていたGPUです。当初はメモリバスを256bitに拡張し、64〜96sp程度で8600GTSと8800GTSの間を埋める7900GSの正統な後継機となる予定であるという噂が流れていましたが、ある時期から急に「G92は65nmにシュリンクされ、112sp、256bitで8800GTS以上のスペック」という話が出てきました。オイオイいくらなんでもそりゃあ無いだろ夢見すぎ・・・・・・などと私自身思っていたわけなんですが、本当にその通りのスペックでリリースされてしまいましたね。一応適当にベンチ取ってみたんですが、3DMARK06では定格でスコア12800。軽々と10000超えを果たしてくださいました。(8800GTSは10000弱程度で、ややクロックを上げれば10000を超える程度のスコア)
スペック的に320MB版の8800GTSを順当に上回り、場合によっては8800GTXにも迫るという8800GTは国内初値\32000〜\38000程度で出回り始めたわけです。更に廉価となる256MBモデルやスペックを下げた低位モデルも計画されているようで、もう8800GTSや8600GTSは一体何だったんだと・・・・・・
劇的なパフォーマンスだが1スロット仕様のリファレンスクーラーは爆熱を生む。
ところがこの8800GTにもややいただけない仕様の部分がありまして、それがデフォルトでカードに装着されているクーラーです。nVidiaの8800シリーズはその膨大な消費電力と発熱により、背面スロットを2スロット占有する巨大な冷却のためのクーラーが必要でした。8800GTSの製造プロセスが90nmなのに対し8800GTは65nmにシュリンクされているため発熱や消費電力は若干抑えられてはいるものの、それでもまだGeForce7900GTX並みかそれをやや上回る程度の電気は食うカードです。確か7900GTXも2スロットの、ヒートパイプ4本+8cmファンっていう当時にしてはかなりごついクーラーでしたよね。これを無理やり1スロットのクーラーに押し込んだためか、リファレンスのクーラーでは発熱を十分に処理しきれていない感があります。
測定時室温19℃。
アイドル時。この時点で既に56度あります。
これをATITOOL(別名タワシ)を使って負荷をかけると・・・
89℃。もう秋も深まったこの時期にこういう温度が出せてしまう素敵な爆熱カードなのです。
ところでこのクーラー、冷却能力足りない割には意外と静かです。
そこでファンの回転数を手動で上げてやることによって、若干ですが温度の改善を見ることができます。
回転数100%。自動制御状態よりも17℃下がり、これくらいなら許容できる温度といえます。
いや、騒音は許容できない範囲なんですが・・・
90%にすると一気に6℃あがってしまいました。これだとちょっと熱いですね。
80%。90%時とあまり変わりません。
70%。80℃を突破。このくらいの温度だと普通はきつい感じです。
60%。82℃とやはり高め。
50%。85℃。自動よりは若干ましなもののかなり熱いです。
40%。自動制御状態より熱くなってしまいました。90℃超えはさすがにヤバいです。
高速FANにより温度は下がるが強力な排熱は爆音を生む。
上に挙げた実験より、だいたい安心して使えそうなラインは80%以上、夏場も考慮すると温度的には100%での動作が望ましいって話なんですが・・・・・・このカード、FANの回転数が50%を過ぎた辺りからかなり動作音が耳に付くようになり、80%以上はもう洒落にならない程の騒音が発生している状態になります。
カードFAN部分から2cmの位置で計測を行ったところ、FAN自動調節時の騒音値が53.9dBに対し、100%回転時の騒音値は73.5dBでした。73.5dBですよ。常に20倍速でDVDが焼かれてるような騒音が延々と続くわけです。その音はまるでドライヤー。工事現場近くの環境で使用するなら問題はないのかもしれませんが、通常の環境ではとても常用はできません。
判りやすく音で聞いて頂く為に、FAN回転数を変えた際の騒音の変動の様子をFlashにして用意しました。
(音が出ます。再生の際は音量にご注意ください)
PCケース内、ビデオカードFANから横に2cmの位置で録音を行ったものです。
下手すると本物のドライヤーよりも音圧高い騒音を是非ご体感ください。
※一応断っておきますが、8800GTはかなりコア温度が(それこそ90℃とか100℃とかまで)上がらないと「爆音」と呼べるほどには回転数が上がらない仕様 になっているようで、通常使用する分には騒音値は十分静かといえるレベル です。ただ、リファレンスで70℃台まで冷やすためには回転数を耳に付くレベルまで上げる必要があるので、必然的に「熱くて静かなのを取るか、冷えるけどクソ喧しいのを取るか」になってしまうっていう話です。これからもっと気温が下がってくる冬場はリファレンスファンでも十分に静音冷却が可能になるかもしれません。来年の夏は知りませんが・・・
ZALMANの強力なクーラーで冷却したらどうなんだろう?
というわけで、笊化をやってみたいと思います。
(※GeForce 8800GTはコア部、メモリチップの他、電圧レギュレータモジュール(VRM)部分の発熱が大きいらしく、その部分をうまく放熱してやらないと非常に危険らしいです。VF900-CuにはVRM冷却用ユニットは付属してませんので、自前で十分な冷却性能を持ったヒートシンクを貼り付けてやる必要があります。くれぐれもVF900-Cu単体で特攻しようとか考えないようにしましょう。また、VGAクーラーの交換はメーカー保証外の行為ですので換装は自己責任で行いましょう)
・・・ちなみに間違う人がいるといけないので繰り返しますが、特に熱くなるのはVRAMではなく"VRM"。Voltage Regulator
Moduleです。ここちゃんと冷却しないと8800GTは間違いなく早死にするタイプのボードですので絶対にお間違えの無き様。
ZALMAN VF900-Cu
怪しげな中国製銅ヒートシンク。東映無線で購入。
周囲の部品と干渉することが目に見えてるので小さめのヒートシンクで済ませたい所なので、
放熱効率の良い銅製であることが大前提。その上でそれなりの高さも備えて安いやつっていうと
秋葉探し回って比べた結果これを選んだ次第であります。
内容物。
クーラーをはずしたところ。クーラーは裏側に止まってるネジを全て外せば苦労なく取り外せます。
基板上で、コアとメモリチップ以外に冷却すべき部分。というかリファレンスのクーラーで冷却されている部分。
ここがVRMです。この部分にヒートシンクを載せるなどして冷却を行ってやる必要がありそうです。
熱伝導シートなどで高さを合わせるなどして比較的大きめのヒートシンクを載せてやると良いでしょう。
コア部分。クーラーの取り付け穴は3種類用意されているようで、最長となる75mm対角の穴を用いれば、
GeForce7900系のビデオカードに対応したクーラーなら取り付けができそうです。
VRMの冷却さえしっかりできれば、取り付け穴の汎用性は高いと思います。
メモリはQuimondaのHYB18H512321BF-10。1.0nsなので2GHzくらいまでは動くかもしれないです。
まず、メモリのヒートシンクを取り付けます。メモリ用の青いヒートシンクはVF900-Cuに付属しているものです。
VF900-Cuの取り付けホールは一番外側を使いましょう。
GPU側のコアに添付されているグリスを塗ります。
7900用の一番外側の穴から取り付けを行います。
止める際はコアに余分な負荷がかからないように、各ネジを少しずつ分散して回していきます。
一箇所だけ固く締めた後で、次のネジ・・・という風にやると最悪コア欠け起こす場合があるので気をつけます。
刻みましょう、削りましょう。金鋸と金鑢でガリゴリと。
ヒートシンクなんて合うのがなければ作ればいいのです。
これで2個分。
とりあえず設置して稼動させてみましたが、赤丸で囲んだ3つのヒートシンクがかなり熱を持ちます。
やはり大きさ的に問題がありそう。
ちなみにこのVRM部分、冷やす対象のチップがかなり小さいため熱伝導両面テープにかなり強力な粘着力が求められます。
元から付いてた白い熱伝導材はしっかり拭き取ってやらないと接着は更に難しくなるでしょう。
マザーボード倒立型ケース(マザーボードが通常の逆向きに設置されるケース)ではビデオカードはFAN側が上に設置されますので問題ないと思いますが、
そうでないケースではビデオカードのFAN側は下向きになりますので、最悪動作中にポロリ……なんて恐れもあります。
まずは自分のケースを確認し、倒立型でない場合は接着には特に気を使った方が良いと思います。
ヒートシンクを一回り大きくしてみましたが、やはりまだ熱い感じ。特に赤丸で囲んだ2つ。
やはりフィンをFANのある方向へ向けた方がよさそうです。
こんな感じで。
完成図。VRMまわりのヒートシンクがゴテゴテしていてどうにも美しくないです。
しかし、これをもってしても一番右下のヒートシンクが熱を持ち、フルロード時にはnForceのノース並に熱くなります。
そこで取り出したるはクレバリーオリジナル8cm薄型静音FAN。
http://www.ez-digix.com/fan/8_10cmfan.html
このように直に風を当ててやると初めてヒートシンクもフルロード中に手で触れられるようになり、
カード上のどの部品も十分に冷えた夏場も安心して使えるカードになりました。
VF900-Cuを取り付けた状態での温度計測
測定時室温19℃。
FAN回転数最高(2430RPM) アイドル状態
コア温度41℃。リファレンスFANから15℃も低くなりました。
VRMやメモリの放熱シンクが別に分かれたせいもあるんだと思いますが、それにしても劇的です。
FAN回転数最低(1390RPM) アイドル状態
コア温度は43℃。回転数最低でもリファレンスから13℃下がったことになります。
FAN回転数最高(2430RPM) ATITool 3D表示
最高温度は55℃。この後5分くらい回し続けましたがこれ以上は上がる気配は見られませんでした。
リファレンスFANと比べて実に34℃低くなったわけです。ものすごい効果です。
FAN回転数最低(1390RPM) ATITool 3D表示
回転数を最低にすると温度は60℃まで上がりましたが、リファレンスの89℃に比べればこの程度十分許容範囲内です。
まとめ。
VF900-Cuに換装する効果は非常に高く、フルロード時はコア温度が30℃以上下がる場合も。
FAN回転数を最大にしてもリファレンスのアイドル状態より静か。静音化しつつ常識的な温度で使用できる。
VF900-Cuを取り付けた状態でのオーバークロックテスト
コアクロック
シェーダクロック
メモリクロック
テスト結果
600MHz
1500MHz
900MHz
定格
650MHz
1625MHz
950MHz
問題なし
680MHz
1700MHz
980MHz
問題なし
700MHz
1750MHz
1000MHz
問題なし
730MHz
1825MHz
1050MHz
ATITOOL 3DViewが数秒で止まる
730MHz
1825MHz
1050MHz
ATITOOL 3DViewが止まる
700MHz
1750MHz
1050MHz
ゆめりあベンチが止まる
700MHz
1750MHz
1000MHz
問題なし
730MHz
1825MHz
1000MHz
3DMARK06が開始と同時に止まる
720MHz
1800MHz
1000MHz
3DMARK06がFireFlyで止まる
710MHz
1775MHz
1000MHz
3DMARK06が完走しない
700MHz
1800MHz
1000MHz
問題なし
700MHz
1820MHz
1000MHz
3DMARK06がたまに止まる
・・・というわけで、うちの8800GTはコアクロック+100MHz、シェーダクロック300MHz、メモリデータレート+200MHzまでは正常に動作するようです。以下、この設定でOCベンチも行ってみます。
ちなみに700/1800/1000動作時のフルロード温度は56℃だったんですが、今日の室温が14℃しかなかったせいかアイドル時52℃だったり上の計測時と環境が異なっているため、比較としてはあまりあてにならない可能性もあるのでここでは表には載せませんでした。でもまあ、OCしたからってそんな10℃とか上がるようなことはないということで。