☆記録型DVDディスクに用いられる色素あれこれ


現在記録型DVDディスクに用いられている有機色素は様々ですが、大きく分けて3つの流れが存在します。
2年くらい前まではアゾ系、シアニン系の色素が主流でしたが、FUJIFILM社の開発したオキソライフ色素の参戦により
現在では色素の自社開発を行っている企業を除きそれを加えた3種類の色素が市場では主流となっています。

・シアニン色素

 CD-R時代から記録色素として用いられてきた青色の色素です。記録特性に優れコストも安い色素でありますが、対光性の面でやや難がある色素であったため、現在ではAZO色素に押されがちなようです。
主な採用メーカー……DAXON、SONY、Princoなど


・AZO色素

 AZO色素は三菱化学メディアが開発した深い青色をした記録色素で、CD-Rの時代より一部のユーザーから強力に支持されてきた色素です。他の色素に比べて反応に必要な温度が高いため、紫外線や高温環境において強力な耐性を発揮する長期保存のための記録媒体に適した有機色素です。
 生産コストはシアニン色素よりもやや高く、三菱が特許を押さえている関係で色々と面倒な面もあるようですが、やはり長期の保存性というのはそれを補って余りある特性なのか現在DVD+R/-Rの記録色素としては世界的に最も多く採用されている色素でもあります。
 反応に必要な温度が高いためレーザーの制御が難しく、高速記録には高い技術を必要とするようです。
主な採用メーカー……三菱、maxell、太陽誘電、CMC、Optodisc、GigaStorage、Umediscなど


・オキソライフ色素

 FUJIFILM社が三菱のAZO色素に対抗する形で開発したDVD用の記録色素です。現在FUJIFILM社が自社ブランドや海外企業への提供といった形でかなり大掛かりな(やや過剰な)宣伝を行っており、世界的に急速に広まりつつあります。
 特徴としては三菱のAZO色素よりも反応温度が約120℃ほど低いため、記録特性に優れ高速や低速での記録に適している(と主張している)点があります。この性質のためなのかどうか判りませんが、今まで高速ディスクの製造を苦手としていた海外企業なんかが採用し、そして実際に良いものを製造し始めているという実績が出ています。(これはFUJIからの技術供与があったからかもしれませんが)
 但し反応温度が低いというのは言わば諸刃の剣でもあるわけで、耐光性などの面ではAZO色素よりも若干劣っている面が見られるようです。また、オキソノール系のディスクの存在を知らない世代の古いドライブ等ではライトストラテジの最適化が行えないため、記録機器は比較的新しいものを揃える必要があります。
主な採用メーカー……FUJIFILM、Prodisc、RiTEK、BeAll、NANYAなど


・フタロシアニン色素

 CD-R時代高速記録色素として広く用いられた薄黄色の色素ですが、反応速度の関係でDVDには用いる事ができないようです。現在フタロシアニンを用いたDVDディスクの存在は確認されていません。
主な採用メーカー……なし

・TDK "塩形成シアニンを混ぜた高感度有機色素"

 シアニン系色素の高い記録特性を残しつつ、保存性を獲得するためにTDKが取った手段と思わしき色素です。実際にAZO色素よりも記録特性は高かったようで16倍メディアが流通したての頃は国産メディアの中で最も優れた性能を誇っていましたが、現在はAZO系メディアでも非常に安定した記録が望める記録機器・メディアが流通するようになってきているため需要が薄れてしまい、TDK自社ブランドでは生産は縮小方向に向かっています。現在はオーストラリア等でTDKと関わりの強いThaiMediaが8倍速ディスクで採用し流通しているようです。
主な採用メーカー……TDK、ThaiMediaなど


・RiTEK G-Platinum Organic Dye

 台湾RiTEK Corporationの開発した濃紫色の独自色素です。材質は確認できていませんが、反応温度がやたらと高い色素であるのか三菱のAZO色素よりも更に高い耐光性を誇っています。
 しかしその性質故か高速記録には全く適しておらず、筆者的には4倍速〜6倍速程度が限界速度なのではないかと思います。また最近はRiTEKが粗製濫造のような体性を見せたため粗悪な色素が製造されており、記録後の劣化の激しいものが多く見られるようです。
主な採用メーカー……RiTEK


・RICOH Advanced SD Dye

 RICOHの開発したDVD+R向けの独自色素群です。2層向けや高速向けなどでそれぞれζ、γなどのタイプが存在するようです。
主な採用メーカー……RICOH





あくまでイメージですが、記録特性と耐光性の関係についてはこんな感じだととりあえず管理人は思ってます。

低←   記録特性   →高
RiTEK











AZO
オキソライフ
塩形成シアニン
シアニン








・・・ってことにしといてくださいもう本当。