☆OEMについて

現在日本国内では非常に多くのメーカーよりDVD-Rディスクが発売されています。一例を挙げると、
三菱化学メディア、TDK、Victor、FUJIFILM、RICOH、Imation、日立maxell等……種類で言えば恐らく数百に届くでしょう。
しかし、日本国内で現在DVD-Rディスクを製造している企業はたかだた5〜6社程度です。
その他の企業は他の企業、あるいは海外の製造元からディスクを購入し、
これを自社ブランドのパッケージに加工して販売しているわけです。
このように、他社に提供するメディアを製造している企業の事をOEM(Original Equipment Manufacturer)と呼び、
「このディスクのOEM元は〜〜社だ」という風に用います。



OEMのしくみ

たとえば、That'sブランドで知られている太陽誘電株式会社は国内でディスクを生産するメーカーとして知られています。
これに対して、TDKなどのメーカーは現在国内工場においてはDVD-Rディスクの生産を行っていません。
ならばどうやって日本製の高品質な製品を市場に送っているのかというと、太陽誘電からディスクを買って、それを売っているのです。


OEM生産の例2


三菱化学メディアは早くから海外拠点(シンガポール)での生産という地位を確立し、現在では台湾CMC Magnetics社や台湾Prodisc社等の工場へ
自社の生産ラインや、色素やポリカーボネイト等の原料を一部持ち込んで、自社の工場とほとんど変わらない仕様での生産を行っています。
台湾CMC社も台湾最大のメディア製造会社であり、他社製品のOEM生産をいくつも行っています。
また、MAG-LAB(磁気研究所)やLMT(リーダーメディアテクノ)のように海外のメーカーと取引を行い代理店販売を行う業者も存在します。




ではなぜ、OEMなんてことをしなければならないのか。
ライバル会社の製品を自社ブランドで売るなんて、自社の売り上げを落とすだけなんじゃないの?と思われる方もいらっしゃると思います。
確かに昔はそういう考え方が強かったみたいなんですが最近はまた違った考え方が出てきていて、たとえば・・・

例1.
ブランドバリューの問題。太陽誘電というメーカーはCD-Rを初めて作った会社でこの業界では非常に有名なのですが、
総合家電メーカーであるSONYやVictor、Panasonic等と比べてしまうと知名度はいまひとつと言わざるを得ません。
そこで、より知名度の高いメーカーのパッケージとして販売することで、太陽誘電を知らない人にとっても
「ああ、このメーカーの出している製品なら安心だな」という風に思ってもらうことができ、購入層が伸ばせます。

例2.
総合家電メーカーとして有名だが、今現在はDVD-Rという市場に乗り出すノウハウを保有しておらず、
しかしとりあえず形だけでも参入してブランドとしての地盤を作っておきたい、等という場合。
又は自社で作るとコストが非常に高くなってしまうため、太陽誘電に任せた方が採算が取れる、等という場合。


このように、供給元と販売元の双方の利益となる場面が多く見られるため、
相互補完という利点からOEMというものが成り立つようになってきたわけです。




また、OEMと似ているものの違った意味を持つ言葉としてODM(Original Design Manufacturer)というものがあります。
こちらはOEMに比べてあまり馴染みのない言葉かもしれません。
ODMも基本的には他社への製造委託ですが、設計から何からを委託元が指定するのではなく、
ある程度委託先のメーカーに製造を任せてしまうことを言います。
OEMよりも広い範囲での製造を委託先メーカーが行うわけですので、委託先メーカーの技術力がある程度高くなくてはいけません。

現在ではTDKが委託元として世界各社のメーカーにODM供給を受けているほか、
maxellも台湾RiTEK社に「スーパーODM」としてODM供給を受けています。