イジェクトボタン押してもトレーが出てこなくなったDW1655を自力でメンテしてみる

BenQの自社製ドライブであるDW1655は3種同時計測ができる名機としてまだ愛用してる方も多いと思うんですが、
このドライブはDW1640の頃から伝統的にトレー動作周りの故障報告が非常に多い機種です。
うちのドライブも先日ついに発症してしまい、トレー開閉ごとにイジェクトピンが必要という困った状態になってしまっていました。
最初はグリスアップとゴムベルト掃除だけで治るかなーなんて甘い事考えてたんですが、どうも状況は思った以上に深刻だったようで
結局ゴムベルトが駄目になってるという結論に至り、輪ゴムで代用するというかなりの力技で解決するに至りました。
なのでここでは、その過程をかいつまんでご説明させて頂きます。

尚、一応言っておかないといけないので冒頭にて明記させて頂きます。

ここに掲載した作業についてはメーカー保証外となる作業であり、予期しない本体故障の原因となる場合があります。
もしもやるなら駄目元で、壊れる可能性がある事を覚悟した上で全て自己責任にて行って頂けますようお願いします。


まずは、ドライブを分解する必要があります。
イジェクトピンを使用してトレーを強制排出しましょう。
        


次に、フロントベゼル部分を取り外します。イジェクトピンで突いてやればこれも容易に取り外せます。
        

ネジをはずして裏側のカバーを持ち上げると、ドライブの制御基盤が見えてきます。
更に内部ユニットを持ち上げて、金属カバー部分から分離してやりましょう。
        


いっそトレーも取り外してしまいたいところです。各社DVDドライブのトレーにはこのような取り外し用のツメが備え付けられています。
DW1655ではこの部分を外側方向へ押しながらトレーをスライドさせることで、ドライブユニットからトレーを取り外すことができます。



ドライブユニット内の前部分にあるギアとゴムベルト。ここがトレー動作制御を行っている部分です。
この部分の設計がBenQドライブがトレー動作不良が起こりやすい事の原因となっているのではないかと思われます。
設計段階での不良があるとかそういった大袈裟なものではないんですが、DW1655は他社のドライブと比較して、
トレー動作に使用されているゴムベルト連結部の間隔が広くとられています。PX-712Aと比較すると一目瞭然です。
他にもLG、NEC、Cyberdrive、Pioneer、TEACと比べてみましたが、こんなに広いのはBenQだけでした。
この間隔が広いということは必然的にゴムの長さも長いものが必要となってくるため、
連結精度が劣化しやすい
それが恐らくBenQドライブのトレー故障の原因とみられます。


DW1655

PX-712A



ではどうするのかって話になりますが、とりあえずこのゴムベルト部を取り外します。
ベルトっていうよりかは只の輪ゴムみたいな感じなのですが、一般の天然ゴム製のゴムバンドとは異なり、
耐久性の高い工業用リングゴムが使用されています。(一般家庭で使われる輪ゴムより伸縮性や摩擦性が低い)
一応このゴムと同じ大きさの家庭用輪ゴムをセットして動かしてみましたが、
強度と伸縮性に問題があったためかトレーは全く動きませんでした。



本来は規格の近い工業用リングゴムをホームセンター辺りで探してくるべきなんでしょうが、
筆者がこの記事を書いてる際に体調を崩しており外出ができなかったため、なんとか輪ゴムで代用しようと考えた末に行き着いたのがこちら。
家庭用14号の輪ゴムを2つ折りにして二重にかけました。これで強度と伸縮性がかなり補正されたはずです。
耐久性にはかなり難がありそうですが、あくまでも暫定処置ということでその辺は考えないことにします。
ちなみに、他のドライブからゴムベルトだけ持ってくるというのも考えたのですが、
他社ドライブのベルトはDW1655に比べて短いため、かなり伸ばした状態で取り付けることとなってしまい、
トレーの動作自体がかなり固くなってしまうためモーターに過負荷がかかりそうなのでやめた方が良さそうです。




ついでに輪ゴムへの負担を少しでも減らすため、各ギア部分をグリスアップしておきましょう。
        


完成。耐久性にかなり不安が残るものの、なんとか輪ゴムで正常に動作するようになりました。


但し、前述した通りこれはあくまでも暫定処置であるため、後でちゃんとした工業用のゴムリングを買って付け替えた方が良さそうです。