第3回 全世界鬼読みドライブ王選手権
"RPL for Burst"
〜Read Power Level for Burst errors〜


ルール説明

(面倒臭いので御託は飛ばす)



今回は前回行ったのとは毛色の大きく違う内容です。

そもそもDVD-Rが読み難くなる原因って一体何なんでしょう? ざっと挙げると

  • 記録品質の低い、エラーの頻発しているディスク
      →ランダムエラー
  • 記録面についたキズや汚れ、指紋などによるエラーの上昇
      →バーストエラー
  • 経年劣化による色素上の化学反応痕の乱れ、減退
      →BetaやJitterの悪化

の3つの要因が考えられます。
今回はその中でも「バーストエラー」についての実験を行ってみます。

※補足・キズや汚れなどのバーストエラーがPIEとしてではなく、PIFとして大きく検出される理由

 DVDをよくレンタルしてご覧になる方や、ご自宅にお子様を飼ってらっしゃる方(すげぇ言い方だ…)はよく身にしみて判ると思うんですが、DVDの記録面にキズや汚れが付いて映像の再生がひっかかるようになることってあると思います。キズや汚れに対する読み性能については前回のテストで実験致しました。
 さて、DVDに記録されたデータというのは、そもそもが動画像などの大きなデータを連続して読み取る事を想定して記録されています。そのためDVD-Rディスクなどはシーケンシャルなアクセスを得手とし、逆にランダムアクセスを苦手としているわけですが…何が言いたいかというと、つまりストリーミングなデータの読み出しに対応するため、データはディスクの内側から外側に向かってらせん状に記録されているということです。

 DVDディスクのトラックピッチは0.72μm、そしてデータの記録トラックはディスクの中心から約2.3cm〜5.8cmの間、だいたい35mmの幅に配置されています。するってーと35000/0.72で約48000。トラックは記録面上に約48000周分配置されていることになり、だいたいDVDの記録面のトラックの長さは12kmぐらいになるんだなと逆算できます。
 対してディスクいっぱいに記録した際に記録されるECCブロックの数は約140000ブロックほど、すると1つのECCブロックの長さはだいたい8.5cm程度になりますね。つまり最内周の部分であっても、1つの1ECCブロックが2周にまたがって配置されていることはないわけです。
 更に逆算すると、ECCブロック内の1本のROWは約0.4mmの長さしか持っていないことになりますので、ちょっとしたキズが付いたらROWは1本まるごと潰れてしまいますね。ROWが1本潰れると、その部分で確実にPIEとPIFが1ずつ発生してしまいます。PIEは8ECC sumで計測されますし、元々色んな所で結構発生しているものなので1くらい増えたところであまり増えたように感じませんが、PIFは1ECC Sumで計測される上にそんなに大量に発生するものではありませんので、PIFに比べて大きく増えたように感じるわけです。
 さて、ROWが1本や2本潰れたところでECCブロック内は2次元構造をしているため、PIでの修復はできずともPOによって修復が行われます。しかしこれが数十本潰れたとなるとさすがに修復は難しくなってきます。この特性により、DVDディスクはトラックに対して縦方向、つまり放射状のキズには強いですが、トラックと水平方向、つまり円周状のキズには滅法弱いのです。ディスクを拭く際に放射状に拭いた方が良いのは、汚れを拭き取った際に円周状にキズが付くとまずいからです。


さて、今回の実験内容はどうするかというと、まずは1枚、できるだけ安定した状態でディスクを記録します。
安定性を得るためにPX-760Aのオートストラテジ機能により作成したストラテジで4倍速のReference焼きをします。
ディスクは実験中にキズや汚れなどで影響が出ると嫌なので、TDKの超硬UVを用いました。







さて、第一段階としてこのディスクに対して記録面に油性のミリペンでこんな感じに16個の印をつけてみました。




このディスクに対してPOEやPIFを計測すると、しっかりと16個のマークの位置が検出可能です。
これらの計測は何のためにするかっていうと、マークをつけた部分がディスク上のどの位置にあるのかを判別するためです。



で、次にどうするかっていうと……




先程記した点から、このように外周に向かって放射状に線を伸ばしてやります。
これによって、外周に向かうほどデータが読みにくくなるわけです。


こういう状態のディスクをCDSpeedのRead Testで読み込みテストし、どの点まで読み込めるかを競い
点の数によるランク付けをするのが今回の実験内容です。



それでは、早速第一回戦を開始したいと思います。