☆安くて品質のよいメディアの選び方 2008年版

皆さんはDVDメディアを購入するとき、どんな事に気をつけて製品を選んでいらっしゃるでしょうか?
販売メーカーのブランド名、価格、店員さんの勧め、店内POPに書かれている情報、見た目のデザイン等々、
DVDメディア選びの際の基準となる点はいくつもあると思います。
では、どういった選び方をすれば「良い製品を、安く」手に入れる事ができるのでしょうか。


1. パッケージブランド = 自社製品 ではない

 前にも挙げさせていただきましたが、販売メーカーのブランドで製品を選ぶ方は多くいらっしゃると思います。しかし、そうやって購入したディスクは本当にそのメーカーの製造している良質なディスクでしょうか?

 一般的に店頭で売られている記録型DVDディスクは販売メーカーがディスク自社で製造しているとは限りません。いいえ、むしろブランド名と製造元が一致しているディスクなど市場全体の半分にも満たないのです。

 ≒ 
この二つ、製造元は同じ太陽誘電

 詳しくはOEMについての項でご説明致しますが、多くのメーカーは他社メーカーへの生産委託の形を取っており、例えば
『国内メーカーであるV社のディスクを買った。しかし中身はV社のロゴが入った台湾P社製のディスクだった』
などといった事が非常によく見られます。
 1〜2年くらい前、まだ16倍速のディスクが市場に出回る前は国内メーカーは自社のブランドイメージを大事にしており、決して自社のイメージを損なうような品質の海外製ディスクを採用することはありませんでした。しかし現在では価格競争が進む中、自社生産のディスクでは採算が取れなくなり、台湾の大手企業製のディスクをどんどん採用するようになってきているメーカーが数多く存在します。

 例えばVictorやFUJIFILMのDVD-Rには台湾製が登場し、台湾RiTEK社や台湾Prodisc社のディスクを採用していますし、TDKやRICOH、Imation等のブランドでは台湾CMC社製のディスクが多く採用されています。


 これらの品質は使用に堪えないほど酷いものではないですが、やはり国内の大手メーカーが自社で生産するものに比べ品質面では大きく劣り、使用するドライブによっては時に記録不良を起こす事があります。



2. ブランドではなく、製造元を特定して選択する


 さて、それではどんな製品を購入すればいいのかというのが問題になってきます。現状ブランド名は信用ならない事があるわけですが、つまりは製造元さえ特定できてしまえば良いわけです。「ここの製品なら、まあ問題ないだろう」というメーカーはいくつか存在します。

 ・『太陽誘電株式会社製』のディスク
 ・『日立マクセル製』の日本製ディスク
 ・『三菱化学メディア』のディスク
 ・『RICOH製』の8倍速DVD+Rディスク

製造元を特定して購入する方法については後述します。


3. 国産の型落ち品は積極的に買うべきもの


 DVDディスクを購入するにあたって、製品の価格も重要なファクターとなるでしょう。いかに製品の品質が良かろうとも、同じ価格で数倍の枚数が買えるとしたら選択も揺らいでしまうというものです。

 台湾メーカーの製品の価格が安いのならば品質相応の値段になっているということで納得できるでしょう。しかし時に家電量販店などで、同じ日本製で太陽誘電の製品であるにもかかわらず、製品に結構な価格差が付いてしまっている場合があります。これってどういうことでしょうか?


 年月を経るごとにディスク販売メーカーはパッケージデザインやレーベルデザインを一新するなどしています。ですので一般的な家電にもあるように、DVDメディアにも『型落ち製品』といった概念が存在します。家電量販店ではいつまでも店舗に型落ち製品を置いていると不良在庫になってしまいますので、年末や決算のセール等に便乗して特価で売りさばく等の対策をとったりすることがあります。

 じゃあ、例えば太陽誘電製のDVDの型落ち製品って現行のモデルと品質的に何か違ったりするの?って話になりますが……

 通常の家電製品では型が新しくなれば新しい機能が追加されて進化するというイメージがあると思いますが、DVDメディアの場合はそんな事は全く無く、型落ちであろうと太陽誘電のDVDディスクは現行品と同じように太陽誘電の品質を備えています。
 むしろDVDディスクは年を経るごとに価格競争に対応するためにコストダウンが計られ品質が低下していく事すらあります。つまり信頼おける製造元のDVDメディアの型落ちモデルというのは当時の良い製品が安く手に入る、良い事だらけの商品なわけです。

 海外のわけわからないメーカー製の特価品は決して良い事ばかりではなく、もしかしたら値段相応の品質しか備えていないのかもしれません。しかし、明らかに太陽誘電製だと判っているのであれば、特価品は是非率先して購入すべきものです。値段の高い、最新のパッケージのものが必ずしも良いものとは限りません


4. 価格の安い、海外メーカー製のものを買う場合…


 海外メーカーの製品は太陽誘電製のディスクなどと比べて品質が悪い、と良く言われますが、絶対的に全てがそうであるというわけでもありません。確かにまともに記録すらできな糞みたいな品質のディスクが数多く存在するのは事実ですが、中には国内メーカーに決して劣らない品質の海外メーカー製のディスクもあり、 そういった例は過去にいくつも報告されていますし、稀に気まぐれで国産を遥かに凌駕するような品質のディスクがひょこっと現れては消えていったりもしています。ですので、
『やたら価格が安かったため駄目元で買ったんだけれども、使ってみたら以外に全然問題なかった』
なんてことも実は全く良くある事だったりします。
 
 しかし、海外メーカー製品の怖い所というのは実は全く別の所にあります。





 これはリーダーメディアテクノという輸入メディア販売メーカーより発売されたAll-waysというメディアの過去6種類分のモデルです。


 これを見ていると、ただ単にパッケージのリニューアルを繰り返しているだけに見えます。特に最後の2つに至っては『あれ、パッケージすら同じじゃん。なにこれなんで同じの2つも並べてるの?』と思われるかもしれません。

 実はここに並べた6種類のメディア、それぞれに色素や特性の全く違うメディアが採用されています。
気づいたらいつの間にか同じブランド、同じパッケージでも中身が全く違うものになってしまう

またたとえ中身が同じものであったとしても、製造元自体の品質のばらつきが大きいため1か月前に買ったメディアが次買ったときも正常に使えるとは限らない
これが海外製DVD-Rの厄介な所です。

 更に言うと、製造メーカーによってはディスクの耐久性が満足に獲得できていなかったりするため、記録直後は問題なかったとしても、数ヶ月後…酷いものになるとほんの数日後にはディスクの内容が全く読み取れなくなってしまう、などというスパイ映画みたいな(尚、このディスクのは自動的に消去される…)事が冗談抜きで実際に起こってしまいます。実際、上に例を挙げたAll-waysブランドでも、筆者宅では左から2番目に挙げた緑色のパッケージのものは現在ほぼ全数が読み取り不能になっています。


 海外メーカー品は価格が安いのが売りで、もしもあなたが品質についての「見極め」さえできたならば、国産製品よりも高いパフォーマンスを発揮することができます。当サイトは単なる管理人の趣味という理由が大きいながら、各社海外メディアのエラー値のテストを定期的に行うことで、様々なメディアを使用する皆様方の製品選別をお助けする事を目的としても運営しています。

 ある程度以上の観察眼のある方……ちゃんと事前に情報を調べて、実際に少数購入して試して、市場の流れを読むことのできる方にとっては、海外メディアを使いこなす事は充分に可能です。例えば2006年末頃の台湾GigaStorage社製8倍速ディスクや2005年初頭の台湾Prodisc社製4倍速ディスクなど、その時その時でごく少数だけ存在する『できすぎた海外製品』をピンポイントで選び良品であるうちに大量に確保し、そしてそのブランドにいつまでも引っ張られず品質低下が訪れる前に引き際を知れる人であれば、ずいぶんとメディアによる出費を抑え、かつ国産以上の満足を得ることができるでしょう。

 しかしながら、ディスクの耐久性による経年劣化という点に関してだけは事前に予測することは極めて難しく、数千枚単位でメディアの検証を続けている管理人にもこれを予測することはなかなか難しいものがあるのが実情です。ですので海外メディアをうまく使用する自信のある方であっても、そういった不測の事態に対してある程度の覚悟が必要です。

  ※ディスク経年劣化のイメージ例(エラーレートの増加)
 → 


5. 店頭で太陽誘電製などの製造元を見分ける方法


1. 『太陽誘電製』のディスクの見分け方

 太陽誘電株式会社はCD-Rを世界ではじめて製造したメーカーで、DVDメディアにおいても世界でトップクラスの品質を誇る日本のメーカーです。太陽誘電製のDVD-Rディスクは全て国内の自社工場で製造され、自社のブランドとして『That's DVD-R』というパッケージで販売されています。
 また、TDKやSONYをはじめ、Victor、Panasonic、maxellなど多くの国内メーカーにOEM供給を行っていることでも知られており、日本で原産国:日本製のDVD-Rディスクを見かけたら、そのうち半数近くは太陽誘電製だと思って良いでしょう。



 ・国産であることが大前提


 ・That's ブランドの製品を購入すれば間違いなく太陽誘電製。

 ・TDKやPanasonicなどの国内メーカーで、原産国:日本となっているものを購入する。

 ・正規パッケージのスピンドルケースの場合は、以下のようなケース形状のものを購入する。
  (このケース形状が太陽誘電の所有する特許となっているため)




2. 『日立マクセル』の日本製ディスクの見分け方

 日立マクセルはmaxellブランドで電池などを販売してきたメーカーで、国内では茨城県の水海道工場にて生産を行っています。2006年末まで一貫して国内生産を行ってきたメーカーですが、2006年に戦略的生産委託を発表して以来台湾製の製品が多く出回るようになったため、若干の品質の低下が噂されています。
 台湾製のものも決して駄目とは申しませんが、購入が可能なのであれば日本で製造された自社製のディスクを購入した方が良いでしょう。


 ・原産国表記が日本であること

 ・maxellブランドであること。

 但し、最近は太陽誘電製のOEM品も多く見られるため、maxellの国産自社製ディスクを選んで購入するのは難しいかもしれません。勿論、太陽誘電製のディスクなら品質には問題ありませんが。



3. 『三菱化学メディア製』のディスクの見分け方

 三菱化学メディアは早くから台湾のメーカーへの生産委託品を主力製品としており自社工場で生産しているわけではないのですが、生産の形態が単純な委託ではないことと古くから実績があり安定しているため、国産と比べてもそう劣らない品質の製品になっています。国内における見分け方はごく単純で、これを使う場合は単純にブランドで選べばOKです。


 ・三菱化学メディアのブランドであること。




4. 『RICOH製』のディスクの見分け方

 RICOHも三菱化学メディアと同じく古くから台湾のメーカーへの委託を行っており、こちらも単純な委託ではなく機材持込で高品質な製品を産出しています。但し気をつけるべきなのは、RICOHがこの方法で製造しているのはDVD+Rディスクのみであるということです。そもそもRICOHは規格発足当初からDVD+Rの陣営に属していたため、自社ではDVD-Rディスクの製造を行っておりません。そのためDVD-RについてはRICOH本来のクオリティでの生産は行えず、台湾のメーカーから単純にOEM供給を受けて販売しているため、DVD+Rと比べて質が大きく落ちます。RICOHのメディアを購入するならば、DVD-RではなくDVD+Rディスクを使える環境で使用しましょう。


 ・RICOHブランドの、DVD+Rディスクであること。